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浜松市の区が再編されま(した)③(住所コード編)

浜松市の区の再編による影響を探ってきましたが、いよいよ今回が最後の本丸となります。
今回の再編によってデータ処理業界でもっとも影響を受けたのは住所コードです。住所コードの中でも今回共通して影響を受けたのは5桁のいわゆる市区町村コードについてです。

5桁の市区町村コードについては、弊社ブログ「住所データのコード化とは何をすることなのか」で少し触れましたが、正しくは「全国地方公共団体コード」といい、総務省が管理しています。頭2桁が都道府県(北海道が「01」、沖縄県が「47」)、残り3桁で市区町村を表しており、このコードでソートをかけると北は北海道から南は沖縄まで、都道府県内では県庁所在地(市)から市部、郡部(町村地区)順にきれいに並びます。
都道府県内の残り後ろ3桁の発番ルールとして、政令指定都市が無い県については県庁所在地(市)が「201」(政令市がある県はその次の中核市)となり、以降市部は3桁目の頭が「2」で順番に発番され、郡部は頭「3」以降の数字が使われています。政令市は3桁目の頭が「1」で、政令市が複数ある場合は市ごとに4桁目を変えて発番します。

静岡県の県コードは「22」で、政令市施行前は静岡市が「22201」、浜松市が「22202」でした。2005年に静岡市が政令市になった際、葵区が「22101」、駿河区が「22102」、清水区が「22103」となりました。その2年後(2007年)、浜松市が政令市になった際は、中区の「22131」から天竜区「22137」までで発番されました。4桁目を余裕をもたせて「0」から「3」と間を空けるのは神奈川県の例と同じです(横浜市:14101~14118、川崎市:14131~14137、相模原市:14151~14153)。

さて、ここからが本題です。今回の浜松市の区の再編によって市区町村コードは以下のように変更されました。

22131 中区 →22138 中央区
22132 東区 →22138 中央区
22133 西区 →22138 中央区
22134 南区 →22138 中央区
22135 北区 →22138 中央区(三方原地区)
22135 北区 →22139 浜名区(三方原地区以外)
22136 浜北区→22139 浜名区
22137 天竜区→22140 天竜区

再編前のコードの最後「22137」(天竜区)の次のコード「22138」を中央区に当てました。次に浜名区に「22139」、とここまでは分かります。しかし今回、天竜区は名称も範囲も何の変更もないにも関わらず「22140」と新たなコードが振り直されました。
これはデータを処理する側からするとあまり都合のいいことではありません。同じ字面であるにも関わらずコードが違うのです。片や現行住所、片や廃止住所であることは住所マスタ内ではその区別がついており整合性は取れていますが、そのマスタと結びつける作業をする際に字面が全く同じであると、現行住所であることを判断をするための何らかのの工程を想定しておかなければならなくなるのです。
なぜ今回このような変更をしたのでしょうか。これはコード順に中央区、浜名区、天竜区と並ぶことを意図している以外に理由は考えられません。地域に序列を付けているようで違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、元々県庁所在地(市)から始まる発番方法を取っているコード体系ですので、都市の規模で順列させること自体は必ずしも不自然ではりありません。

ただしこれは3区に集約される分かりやすいケースであったから、と推測されます。例えば大阪市は区が多すぎる(現在は24区)せいか、この順列にはこだわりませんでした。大阪市では1989年に、旧北区(27101)と旧大淀区(27112)が合区して現在の北区(27127)に、旧東区(27105)と旧南区(27110)が合区して現在の中央区(27128)になりました。このとき同じ名称であっても北区は「27101」を引き継ぐことはなく、旧区のコードはすべて廃番となりました。もちろん他の22区を巻き込んで改めてコードを振り直すこともしませんでした。
現在の大阪市の区をコード順に並べると、先頭は都島区(27102)から始まり、大阪市役所(中之島)のある北区と大阪府庁舎(大手前)のある中央区はまるでテレビドラマのW主演のクレジットのトメのような配置で最後に並んでいます。しかし、これはこれで分かりやすくもあります。

話を浜松市に戻しますが、名称も範囲も全く同じであるにも関わらず市区町村コードを改めたのは天竜区が初めてです。処理業者の立場からしてみると正直違和感を拭えませんが、今後これは一つの前例になると思われます。
取って付けたような補足になりますが、郵便番号は変わっていませんし、今回の浜松市の区の変更はシンプルで分かりやすく合理的な再編でした。しかし、平成の大合併以来、行政区の変更は単に市区町村名の冠を変えれば済む話ではない、ということは今回も言えることでした。